クリニック ホームページ作成の費用・見積もりの相場の考え方
医療機関の一番最初の窓口となるWebサイト(ホームページ)。昨今ではGoogle検索の一般化により、Googleの検索結果表示画面での表現も気を付けなければなりません。情報発信において考えることは数多いものの、ひとつひとつクリアしていければと思います。
さて、このような情報を探しておられる方はこのようなニーズをお持ちのことと思われます。
- できれば安く済ませたいが、全面に出る情報なのでしっかりとしたものであって欲しい
- いろいろな作成ツールが充実してきているため、業者に発注することなく自らで作成することも可能だろうから、プロにお願いすべき部分だけでも発注して後は自分で…と考えている
- ずっと費用が掛かってしまい、電子カルテと同様に固定費化してしまうようなWebサイト(ホームページ)にはしたくない
このようなお気持ちに、今回はこたえたいと思います。
一般的なシステム開発と予算・見積もり算出の考え方から,最低限必要なラインを見極める
一般的に、Webサイト(ホームページ)とはITシステムのひとつです。ITシステム開発では様々な開発手法が採られるのですが、今回はその中でも典型的なウォーターフォール型という開発手法を前提に説明できればと思います。
ウォーターフォール型のシステム開発の段階
- 要件定義・基本計画:何を作りたいのかを決める
- 外部設計(基本設計):どのように見せるのかを決める
- 内部設計(詳細設計):どのように動かすのかを決める
- プログラム設計:どのように開発するのかを決める
- 開発:プログラムを組み立てる・コーディングする
- テスト・公開
前の工程には戻らない前提であることから、"下流から上流へは戻らない水の流れ"にたとえて〝ウォータフォール型〟と呼ばれています。それぞれの段階ですべきことが決まっており、ある段階ですべきことができていないと次の段階には進めません。
他のシステム開発の方法との比較
ウォーターフォール型の他にはインクリメンタル型、アジャイル型などの方法がありますが、ウォーターフォール型は以下のメリットが大きいため医療機関のシステム開発(※ホームページに限らず)にしばしば採用されています。
- スケジュールを立てやすい
- 予算・人材の手配がスムーズ
- 関係者との調整がしやすく品質をより重視できる
一方デメリットとして、前段階のものをベースにして開発を進めていくため、手戻りが発生した場合には各工程をさかのぼってやり直さなくてはいけません。そのため、特に大規模な組織のWebサイト(ホームページ)作成ではステークホルダーの調整に係る時間と手間、合意形成に必要な工数を予め想定して置くことが必要です。
一般的なシステム開発における予算・見積もりの内訳
上記を踏まえ、ウォーターフォール型でWebサイト(ホームページ)作成を考えたときの見積もり項目の全体像を洗い出す。
- 要件定義・基本計画
- 現状把握(目指す姿、診療・事業内容のヒアリングなど)
- アクセスログ解析
- 競合調査
- Webサイト戦略策定
- 個別要件定義
- CMS要件定義
- 運用要件定義
- 外部設計(基本設計)
- サイト間連携/サイトフォーメーション設計
- 各サイト情報構造設計
- 基本画面設計(PC・sp)
- コンテンツ・機能設計
- デザイン
- 内部設計(詳細設計)
- 機能設計
- デザイン/HTNL・css設計
- プログラム設計
- 機能設計
- デザイン/HTNL・css設計
- 開発
- コーディング
- CMS実装
- ドメイン設定
- コンテンツ(画像・文章)流し込み
- レビュー・修正
- テスト・公開
これらの中で「目に見える」成果物はデザインとコンテンツ(画像・文章)のみ。他の作業は目に見えない業務であり、目に見えない業務の品質にこそ業者のプロフェッショナルなところが詰まっている。
また、業者がしている目に見えない業務を自動化したものが昨今のWebサイト作成無料ツール(Jimdo、Wixなど)のシステム。なので、ツールを使ったWebサイト(ホームページ)作成では、たとえ素人であっても目に見える業務にのみ集中できるため効率的にWebサイト(ホームページ)を作成・公開することができる。
たとえば要件定義・基本計画のところを自ら文書にまとめ業者に依頼できるのであれば、業者の見積もりから「ヒヤリング」「コンサルティング」というような費用を削減することができる。外部設計(基本設計)のところも、自ら紙に書いて画面設計書を作っていけるのであれば「画面設計書作成」「レイアウト(※デザインではない)」というような費用を削減できるかもしれません。
ただ、これらの業務を素人1人でやろうとすると、いくらでも時間を掛けられる作業になってしまい、目途が立たず、目指していたはずの〝しっかりとしたもの〟の理想像から離れて行ってしまう恐れもあるのは事実です。
一般的に、サイト制作の見積もりの費用感は下記のとおり。無論、あくまで目安に過ぎないため、ピンキリではあります。
- 要件定義・基本計画:20~200万円
- 外部設計(基本設計・詳細設計・デザイン含む):5~20万円/ページ
- 内部設計・プログラム設計:5~20万円/ページ
- 開発・テスト・公開:5~20万円/ページ
※設計~開発・テスト・公開の段階は、Webサイト(ホームページ)のページ数に依拠した費用・見積もりとなる.
たとえば、Webサイト(ホームページ)全体のページ数が15ページの場合。要件定義のコンサルティングに20万円を掛け、各種作業段階におけるページ単価を一律5万円とすると…
- 要件定義・基本計画:20万円
- 外部設計(基本設計・詳細設計・デザイン含む):75万円
- 内部設計・プログラム設計:75万円
- 開発・テスト・公開:75万円
となり、およそ250万円という見積もりが算出されます。システム開発期間としては、およそ3ヶ月程度のスケジュールでサイト公開できるでしょう。
果たしてこの費用は、高いでしょうか?安いでしょうか?
医療機関・クリニックのホームページに求められるものとは?
ここで、「高い」「安い」という議論の前提となるWebサイト(ホームページ)のページ数に目を向けたいと思います。
下記のような事項を網羅できていれば、Webサイト(ホームページ)の役割を果たしていることになるため、極論1ページだけでもしっかりとしたデザイン・レイアウトで情報発信のできるページを作成する――という方法もアリだと思います。
基本情報(Must)
- 診療時間・休診日
- アクセス・交通案内・地図
- 予約に関する情報
- 標榜診療科・診療内容
- お知らせ機能
追加情報(Nice to Have)
- 院長あいさつ・スタッフ紹介
- 施設案内
- 疾患ごとの診療方針説明
- お問い合わせ機能
- ブログ機能 ほか
このような枠組みで考え「何を出すべきか?」だけでも考えておくと、予算を考える際に必要となるページ数算出の根拠となると考えます。
https://www.aqua-kyousei.com/lp/lp.html
こちらはAQUA日本橋 成人矯正CENTERという歯科クリニックのWebサイト(ホームページ)になります。必要な情報が1ページにまとまっています。最低限の情報が載っていればそれでいい、という方針であればこのようなWebサイトもひとつの選択肢になりそうです。
“我々にとって”必要最低限の費用・見積もりとは?
最終的には、先述の基本情報+貴院の独自性を表現できるコンテンツ・機能の実装が理想像であると考えます。このような論点の洗い出しとそのご相談であればご協力できるところもあろうかと思いますので、ご興味がありましたらぜひお声がけください。
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