Webサイトのアクセスログ解析におけるセグメンテーション分析の手法
アクセスログ解析による現状把握は、ユーザーの状態について考察を深めることにつながる
「自分たちのWebサイト(ホームページ)を見に来る人は、何を求めているんだろう?」そんな問いに答える定量的なデータのひとつがアクセスログです。これをどのように見るべきか。そのために使われるのが、セグメンテーション分析という手法です。
セグメントはヌケモレなく・ダブりなく分ける
そもそも分析とは、全体像から分けた対象物を比較することで、それらの関係性(何らかの傾向、相関性、突出した数値、ターニングポイントの有無など)をつまびらかにする作業のこと。
したがって、全体像を表しきれていない分析や、重複のある対象物を比較した分析は、筋の悪いアウトプットしか出せません。
事前に立てた仮説を基に、「仮説検証するにはどんなインプットが必要だろうか?」という問いに答えられる分析設計をしておくと良いでしょう。
仮説を立てる時は、目的をはっきりと持つこと
分析とは、それ自体が目的になってしまっては意味が無いのです。「何故、ユーザーはCVするのだろうか?」→「AというコンテンツとBというコンテンツ、そのどちらかを見たからではないか?」→「Aというページを見た人のデータとBというページを見た人のデータ、そのどちらも見た/見ていない人のデータを比べてみよう」という様に、何と何を比べれば検証できるのかを確認しながら分析作業を進めるべきです。
そして、見るデータは、下記のようなセグメンテーションにさらに分解・細かくすることで、より一層密な分析ができるようになっていきます。
使うべきは、空・雨・傘の考え方
空・雨・傘とは、外資系コンサルティングファームでしばしば使われる考え方の枠組みです。
”空”―「空が曇っている」(事実認識)
”雨”―「雨が降りそうだ」(解釈)
”傘”―「傘を持っていこう」(判断・提案)
この3段階の思考パターンを定着させることにより、Webサイト(ホームページ)の抱える問題を解決することにつながります。事実(”空”)を正しく認識し、そこから解釈の道筋をたて(”雨”)、最も合理的と考えられる対策(”傘”)を選びます。
”空”が抜けた場合は事実に基づかない、あてにならない解釈となります。
”雨”が抜けると、事実と判断の間のつながりが見えず、周囲に分かりにくい印象を与えるばかりか、解釈の部分の客観性に乏しいので判断が間違ったまま進むリスクもあります。
”傘”が抜けると、「で、どうすればいいのか?」という疑問が残り、具体的な行動につながりません。
このように、最後の”傘”までを段階を踏んで考えていかなければ、何をすべきかの判断が出来ません。何らかの改善・リニューアルを考えているときには、こうした枠組みでデータ(※今回はアクセスログ解析のデータ)を根拠に”傘”を考える必要があります。
セグメンテーション分析を施策のデザインにつなげるには
第一に、アクセスログ解析におけるセグメントの分け方には下記のようなものがあります。
- 新規・再訪問で分ける
- 流入元(参照元)で分ける
- デバイスで分ける
- 「ある事象」と「その他」で分ける
新規訪問の方が検索経由での訪問が多かったり、再訪問の方がCV率が高かったり、検索流入の方がCV率が高かったり、PCで閲覧するユーザーはクレジットカード決裁のフォーム遷移での離脱率が少なかったり、特定のページを閲覧した/していないユーザーでCV率に高低が有ったり・・・
こうした分け方を以て確認されるデータ・事実を”空”とします。Google Analyticsなどアクセス解析ツールの分析レポートでは、フィルタを掛けながら様々な種類のレポートを見ると良いでしょう。
第二に、ユーザーの状態について考察を深めます。この解釈のことを”傘”に位置づけます。
何故、再訪問の方がCV率が高いのだろう?それは、ユーザーの比較・検討の段階が進んだからではないか。それは、何度も見ることで購買意欲が醸成されたと見ることができます。
そうした仮説を踏まえて、訪問回数ごとのCV率の比較をします。さらに、その訪問回数ごとのデータを流入元やデバイス、あるページの閲覧有無などでセグメンテーションをすることで、ユーザーの購買意欲を醸成するために必要な事象とは何なのかの想像が湧くようになるでしょう。
最後に、(ユーザー中心に考えた時)どんな施策が求められるのかを考えます。この提案のことを”雨”に位置づけます。
スマートフォン・twitterで初回訪問した後に、デスクトップPCで5回以上訪問したユーザーのCV率が最も高かったとします。すると、普通のユーザーが「スマートフォンでtwitterの情報を見るユーザー」になって、「デスクトップPCで5回以上情報を確認するユーザー」になるために必要な施策のデザインをする、という手順を踏みます。
それは、レスポンシブWebデザインかもしれない。それは、お気に入り登録機能かもしれない。それは、ソーシャルボタン投稿かもしれない。それは…というように。
いずれにせよ、この施策のどれがより良い施策か?という問いに答えるためにも、それぞれ依拠する仮説の根拠があるべきです。”レスポンシブWebデザイン導入”という施策にまず着手する、という意思決定に至るには、「PC・スマートフォンで、ユーザーが見るコンテンツの情報量は、同一であると平均滞在時間が長くなってCV率が上がりやすい(≒しっかり読んでくれる)」といった統計データを踏まえて段取りを進めるべきでしょう。
どのようなWebサイト(ホームページ)にすべきか?というところが気になる方、ご興味がありましたらぜひお声がけください。御社・貴院〝ならでは〟のWebサイト(ホームページ)の考え方を組み上げていきましょう。
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