情報発信・Public relationsの考え方のフレームワーク

グロースサイクルを考えるための方法論

広報・PR、プレスリリース、戦略立案、会議体での企画説明、メールコミュニケーションなどなど…様々な「情報発信」の機会に人々は面しています。

情報発信の目的は、「誰に(何に)」「どうなって欲しい」というビジョンをどこまで叶えていけるか、という道のりの中にあります。様々にある目的を定量的な目標に置き換え、それを何らかのかたちで改善することが求められます。

そこでは、いろんな視点で発信の意義を理解し、考え、実践することが必要です。その際に使われる枠組み(フレームワーク)について書きました。

Public relationsの目的・目標

医療機関でのPublic relationsでは、下記のような内容を考えます。

目的・目標

  • 生活者とのPR:来院数/セカンドオピニオン数、医業収益(量・質)、CS向上など
  • 医療連携:患者紹介/逆紹介/問い合わせ数、医療機器の共同利用など
  • 研究:見学・視察、面談希望者数など
  • 採用・研修:就職希望者数、研修参加申し込み数など
  • 寄付:寄付者数、ひとりあたりの寄付額など
  • 地域連携:企画考案数/実行率、ステークホルダーの満足度など
  • 疾患啓発/報道/認知・理解:取材申し込み数、パブリシティ、Google Trendsでの人気度など

その成果の効果測定は、目標との現状のGAPからの比較によってなされます。この時に使用される指標は様々です。下記の候補はあくまでその一部ですが、我々はプロジェクトごとに0から考え、問題解決に資する目標・指標とは何かについて合意した上で仕事に臨みます。

態度変容

  • 言動を繰り返す人数
  • 希望どおりに行動する人数
  • 態度を変更した人数
  • 意見を変更した人数
  • オファー応諾率

行動喚起

  • 報道記事の露出件数/パブリシティ
  • ブランド認知率(Googleトレンド相対値など)
  • メッセージの込められたコンテンツを学ぶ人数
  • 取引数/取引単価、一人あたりの利益
  • 顧客満足度(NPS)
  • 正味現在価値(NPV)、内部収益率(IRR)、投資回収期間
  • 顧客生涯価値(LTV)、離反率
  • クリック単価(CPC)、トランザクションコンバージョン率(TCR)、広告費用対効果(ROAS)
  • 直帰率
  • ソーシャルメディア/口コミ増幅係数(WOM)

じっさいのプロジェクトでは、目的・目標から逆算して、何が求められているのかを考える際にPEST、3C、VRIO、STPといったフレームワークの情報を追加することでより全体観を持って臨みます。こと医療は、PESTのようなマクロ環境に左右されやすいため、都度で確認することは大切です。

方法論

思考プロセスとしては空・雨・傘というオーソドックスな段階を踏みつつ、合意形成を図っていきます。

  1. :データの集計・分析
  2. :PEST、3C、VRIO、STPの情報をも含めた解釈・仮説立案
  3. :今後に向けた企画・施策の考案

生活者のニーズ(≒欲求、需要、希望を指す)だったり、オケージョン(≒何らかの機会に臨む人の内面)だったりを考える時に使われるフレームワークとして、STPがあります(「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の3つの頭文字を採って、STP)。

STPとは、市場にいる人たちを特定の属性ごとの固まりに分けて自社の顧客を知る作業のことです。企業は市場を細分化し、最も魅力的な層はどこかを判断して、効果的にアプローチする必要があります。セグメンテーションする時に考えるべきは、下記のような属性になります。

  • ジオグラフィック属性:国・地域・都市の規模・進展度・人口・気候・文化・宗教・政策など
  • デモグラフィック属性:年齢、学歴、性別、収入、世帯規模、職種、役職など
  • サイコグラフィック属性:活動、興味、意見、考え方、意思決定の基準、他者への影響力など
  • ビヘイビアル属性:問い合わせ数、資料請求数、営業数、購入数、離反率、Webサイト閲覧、デジタル広告との接点など

この後、ターゲティングでは各種セグメンテーションの市場規模、成長性などを考慮に入れつつ「誰に」「どうしてほしいのか?」を考えます。

そして最後のポジショニングでは「何を」伝えるべきなのか?という、コンテンツの方針を決めることになる。そこでは、これまでの類似した情報発信との差別化や自社ならではの独自性の追求が求められます。

ロードマップの方針策定

最後に、考案された今後に向けた企画の評価と選定では、様々な軸・視点で精査を深め、選定された問題領域における解決策として適正な方針を探求します(下記のとおり)。

理念的な軸

  • 独自性(自社の強みとの整合性)
  • 実行可能性(境界条件の範疇かどうか?)
  • 未来性(事業戦略との整合性)

経済的な軸

  • 経済性(初期投資・費用負担)
  • コスト削減(費用対効果)
  • 業務効率化(時間対効果)

機能的な指標

  • 市場性(CV率/ターゲティング)
  • 収益性(売上/医業収益への影響度)
  • 持続性(単発で終わらないかどうか?フロー型/ストック型の種別)

存在的な指標

  • 話題性(報道など情報発信量)
  • ブランディング(質)
  • 拡散性(リーチ数)

特に医療機関には、地域における存在意義の視点が存在します。同様の事は企業についてもいえます。その際、還元されるべき資産が何なのか、責任を負うべきテーマが何なのかについての検討が不可欠です。

地域における存在意義は、下記のような枠組みで検討すべきと考えます。どれをどの程度優先するのか、尊重するのか…というところに、医療機関としてのリーダーシップが現れます。

■経済的価値(BS、PL、CS)
■機能的価値(医療の質、臨床の特徴・実績、保有能力、現場スタッフの能力・才能・精神などソフト面)
■存在的価値(世の中の視点、周辺の社会資源・地域ニーズ、期待される機能・役割、ブランド)

以上の内容を踏まえた施策・企画の採否/選択/選択肢を洗い出し、整理・意思決定を支援します。必要に応じて、実行支援にも入ります。ご興味のある方、お気軽にお問い合わせください。

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